2025.01.10 【 2025.02.14 update 】
ふるりちゃんねる 07 : 夜刀うらら / 桜街紗那 / スイ
Illust. 花咲ちゆ
【 2025.02.14 】
・ショートストーリー「時空跳躍パニッシャー」を掲載しました。
00はじめのごあいさつ
![]() | ハッピー・ニューイヤー!! |

〓 p1 〓 LN : 阿湖アコ Lv.3
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こんふるり~! 2025年最初の配信は、青の世界の兎耳・天使・新人ViDOL「逢咲ふるり」と「ふるりちゃんねる」の ハーフ・アニバーサリー を祝して―― |
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新衣装のお披露目があります!! わ~~~~~~~~~~!! |
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会場は青の世界のセントラルタワー。 治安維持部隊フォルセティに所属するきさらちゃんに引き寄せられるようにして、青の世界を訪れたイースさんと―― |
![]() | 愉快な仲間たちも駆け付けてくれます!! |
〓 01 〓 LN : ジーク Lv.2 ふるりちゃんねる収録のお部屋は広いんでしょうか? 今回ゲストが普段より多いので心配してます。 | ![]() |
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かなり広いです! ふるりが配信するプライベートルームはなんたって青の世界が誇るセントラウタワーの一室ですから! ……もと物置ですが。 |
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では、さっそく……。 ゲストの皆さん、お入りください! |
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お~。 広くて綺麗で女の子らしいお部屋ですね~。 クローゼット開けていいですか? |
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はい! いやいやいやいやいきなりなに言ってるんですか!? プライベートの侵害ですよ! |
![]() | じゃあ、おしりをさわらせてもらいますね~。 |
![]() | 〝じゃあ〟じゃないです! ユーディさんもなに手をわきわきさせてるんですか! |
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……こいつらは私たちが見張っておくわ。 放っておくとなにするか分かったもんじゃないしね。 |
![]() | は~な~せ~。 |
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常識人がいてくれて助かりました……。 変なことしでかすまえにオープニングコールいきますよ! 皆さん一斉に、ごあいさつをお願いしますッ!! |
![]() ![]() ![]() | ふわふわ! |
![]() ![]() ![]() | るんるん! |
![]() | りりりり―― |
![]() | りっ!? |
![]() | ちっ。 |
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ごあいさつですね。 〝ごあいさつ〟ですが? |
![]() | そんな交流は求めてません! |
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えっ!? あれ!? ユーディ!? しっかりつかまえといたつもりなのに!? |
![]() | ふぃじかる・ぶんぶん、いーすちゃんねる! |
![]() | !? |
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いぇ~い。 ぴーすぴーす。 |
![]() | タイトルコール乗っ取られました!? |
![]() | うちのイースんがすみません! |
![]() | 先生――――ッ!! |
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ただいまより「セントラルタワー破壊RTA」を開始する! ざぁ~このトゥーラはわたしに勝てるかしら? |
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……へえ? 勝負ってわけ? ……望むところ! |
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ダメですダメですなに言ってるんですか! しょっぱなからめちゃくちゃですよもう! |
![]() | ちぇすと~。 |
![]() | アロハオエェェェェッ!! |
![]() | だあああああああ!! |
01ク・リトのココロ
〓 02 〓 LN : さくら 紗那ちゃん、ふるりちゃんに膝カックンお願いします! | ![]() |
![]() | 合体技を避けられるとは思わなかったですぅ~。 |
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コメント欄が悪戯を求める声であふれ返ってますので、ふるりだって警戒します。 以降、その手のコメントは決して拾わないので、大人しくしてください。 いいですね? |
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なんて狭量で横暴なんでしょう! ユーディは絶望致しました! |
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絶望したのは先生十二号を起動させる間もなく爆発四散させられた私です。 うららさんが非常識サイドに回る可能性をはらんでいるのも絶望しました。 |
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仕方なかったのよ。ココロ踊る提案だったんだから。 青の世界相手にどこまで許されるかを見極める駆け引きの、ね! |
![]() | ……せめてスイさんは良心であってください。 |
![]() | そうだね。善処するよ……。 |
〓 03 〓 LN : ニトリ茶 Lv.2 (ここでユーディ直伝のアメイジングなイタズラをふるりにシュート) | ![]() |
![]() | シュート! |
![]() | 勝手にコメント拾わないでください!? |
![]() | ユーディ師匠、敵はなかなか手ごわいです! |
![]() | 諦めたらそこで試合終了ですよ! |
![]() | なんでそこまで、ひざかっくんにこだわるんですか!? |
![]() | ひざかっくんを成功させないと、次の悪戯に進めないんです! |
![]() | 永遠に悪戯の連鎖が終わらないじゃないですか! |
![]() | うちのイースんがすみません! |
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……そっちがそう来るなら私だって手段を選びません。 座りっぱなしで進行させてもらいます! |
![]() | !? |
![]() | ブーブークッション成功ですぅ~。 |
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や~いや~い。トラップに引っ掛かってやんの~。 乙女がおならの音を公共電波で流されてどんな気持ち? ねえいまどんな気持ち? |
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ひざかっくんを警戒させる心理戦。 緩急織り交ぜた多段攻撃。 チームワークの勝利ですっ!! |

〓 p2 〓 LN : 銅結葵 Lv.5
![]() | ついでに、ひざかっくん。 |
![]() | ちぇすと~。 |
![]() ![]() ![]() ![]() | イェァー! |
![]() | あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! |

〓 04 〓 LN : GRRR Lv.4 うららさんに質問です。青の世界の捕縛から逃れた【TT】のふたりがいまだに悪だくみしているようなのですが、目下の目標はやはり彼女たちの捕縛ですか? | ![]() |
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捕縛ですか? 捕縛ですよね? いいですねうららさんお願いしますよ? |
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はい……。 ……なんで私まで正座させられてるのかしら。 アスツァールやアビィとベティの姉妹のせいで、とばっちりじゃない。 |
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ココに来るまでの間に聞いたよ。 いろんなゼクスに憑依して悪さするのは厄介だね。 |
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個人的にも困ってるんです。 あのふたりを放っておいたら邪神竜が降臨しますよ。 |
![]() | したじゃん。 |
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もちろん私たちも対応するわ。 わざわざ青の世界を訪れたのは、情報交換のためだもの。 ク・リトにはク・リト。ク・リト王家の権威に懸けて永久牢へぶちこんでやる。 |
![]() | 頑張って? |
![]() | ツァールもやるの! |
〓 05 〓 LN : トラベラー 成長したアスツァールが好きだ! いまでも本気出せば成長した姿になれるの? | ![]() |
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なれないのよね。 妹たちが死んで、根源ク・リトのチカラがわたしひとりのものになれば、話は別だけど。 なんで三分割されてるのかしらね? |
![]() | 少なくともあんたに好き放題させるためじゃないわ。 |
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アスツァールさん、夜刀うらら(ヤトゥーラ)さん、天竜ゆたか(ユティーカ)さんの三人は三姉妹でして、ク・リト王家の末裔。 お姫様なんです。 |

![]() | この人は? |
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プリンセス・マギカです。 お姫様じゃないです。 |

![]() | この人は? |
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姫君です。 お姫様じゃないです。 |

![]() | この人は? |
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怠け者です。 お姫様じゃないです。 ……じゃなくてお姫様で合ってます! |
![]() | ややこしいですぅ~。 |
![]() | ややこしくなること言わせないでください! |
〓 06 〓 LN : カゼカ Lv.4 いたぁかがいつもあすつぁーるさあんにかたりかけてますがどんなかんけいですかあすつぁーるさあん。 | ![]() |
![]() | クビにした侍女。 |
![]() | ツァールにはメイドを雇う趣味があるから。 |
![]() | なので、私の執事(バトラー)魂と共感したわけです。 |
![]() | してない。 |
![]() | しかし、ある日ふたりは主従の関係を越えて禁断の愛を育んだのです。 |
![]() | してない。 |
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でも、イタァカさんはアスツァールさんに並々ならぬ想いを抱いてるような気配が……。 どうしてクビにしたんです? |
![]() | ウザいから。 |
![]() | ド直球でした! |
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どんなに虐げても効かないし。 つまんない。 |
![]() | ド直球にも程があります! |
![]() | アスツァールさんの変態的欲求を満足させるため、次に雇われたのがわたしです。 |
![]() | マジですか!? |
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うそぴょ~ん。 間にショゴズさんがいます。 |
![]() | この人たちめんどくさい! |
![]() | もののついでに変態扱いしないでくれる? |
〓 07 〓 LN : つゆます 過去の黒歴史エピソードがあれば聞きたいです!! | ![]() |
![]() | ……神域に攻め入ったのは後悔してるわ。 |
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あら? 殊勝な心掛けね? |
![]() | ディンギルの文明を滅ぼしたくらいで、いつまでもトゥーラに小うるさく言われるし、挙句の果てには永久牢へ閉じ込められるし、たまったもんじゃない。 |
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アスツァールさんは過去の行動をもっと反省してください。 人のこと言えた義理じゃないですが、この場を借りて、エンリルさんたちになにか言うことあったりしません? |
![]() | なんのこと? |
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ツァールに限って反省なんかするわけないじゃない……。 代わりに、ク・リト王家を代表して、私が謝るわ。 ディンギルの皆様、申し訳ありませんでした。 |
![]() | 正式な謝罪はまたいずれ―― |
![]() | トゥーラの黒歴史はいまだにおねしょすることかしら。 |

〓 p3 〓 LN : ているず
![]() | 少しは反省しろゴルァ!! |
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ティーカ姉さんを妄想して大洪水よ。 よだれで。 |
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やめて! (*ノノ) 恥ずかしい! (*ノノ) |
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あっはい。 わりとよく聞くアレでした。 |
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わたしの黒歴史は記憶を失ったことかもね。いまは新時間軸、って言うんだっけ? 遥か古代に神域を蹂躙した記憶は残ってるのに、幻夢郷を蹂躙したっていう、旧時間軸の出来事をこれっぽっちも思い出せないのよね。 |
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この中だと、私以外の記憶保持者はスイさんとイースさんです。 もしかすると記憶が残ったメンバーには共通事項が? |
![]() | 閃きました! |
![]() | 言ってみて。 |
![]() | 名前に〝イ〟が付きます! |
![]() | 私のは小さいですよ? |
![]() | 閃きました! |
![]() | 言ってみて。 |
![]() | …………。 |
![]() |
……ですが。 本人たちを前にして口にしても良いものかどうか……。 |
![]() | 構いません! |
![]() | 私は聞きたくない気がしてきたよ。 |
![]() |
同じくです。 反対票過半数で否決となります。 |
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……そうですか。 覚悟に敬意を表し、私の見解を述べましょう。 |
![]() | 人の話聞いてる? |
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記憶を保持した三名の共通項。 それは……。 |
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…………。 ……小娘、ですね? |
![]() | もっともらしく、なぜ〝小〟を付けた。 |
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やれやれ。お手上げです。 ですが、紗那お嬢様はお分かりになっているご様子です。 スイさん、イースさん、リルフィさんの共通項を! |
![]() | 胸が大きいです~。 |
![]() | 私のは小さいですよ? |
〓 08 〓 LN : サカズキ Lv.2 こんふるり~!! 夜刀うららさん、アスツァールさん、スイさん、イースさんの4人に質問です! 好きな男性のタイプを教えてください!!! | ![]() |
![]() | リルフィさんが自己嫌悪で殻に閉じこもってしまったため、以降の司会進行はこの、ユゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーディィィィがお送りしますっ!! |
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わ~。 ぱちぱちぱちぱち。 |
![]() | 各自、好みのタイプを暴露しちゃってください! アスツァールさんから、どうぞっ! |
![]() | 夢と希望に満ち触れた眼差しが、ふとした瞬間、現実と絶望に染まるタイプ、かしら。 |
![]() | 最高潮に盛り上がって参りました! 続きましてはいよいよラスト、オチ担当です! うららさんを省略してイースさんとスイさん、好きなタイプを同時にどうぞ! |
![]() ![]() | えっ。 |
![]() | どうぞっ!! |
![]() | ……フェアリータイプ、かな? (*ノノ) |
![]() | ……は、はがねタイプ、です! (*ノノ) |
![]() | 合わせて妖精マッチョいただきました! ありがとうございますっ!! |
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妖精……。爆裂……。大胸筋……。 ……うっ。めまいが……。 |
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……ハァ。仕方ない。 教えてあげるからココロして聞くのね。 私の好みのタイプは―― |
![]() | どうせ〝ユティーカ姉さんのような〟とか言い出すので結構でーすっ!! |
02時と場合をわきまえて
〓 09 〓 LN : あるみ Lv.5 ふるりさん、いやふるり様。わたしは紗那×ユーディ派です。ふるり様はこっちのお味が分かるお方、ふるり様のお好みをこっそり教えて欲しいです……(小声) | ![]() |
![]() | いかがですか、ハーフ・アニバーサリーというおめでたい日に己のキャパシティを認めてしまい塞ぎ込んでいる、リルフィさん? |
![]() | …………完全合意です。 (*ノノ) |
![]() | 【紗那×ユーディ】いただきましたーーーーっ!! |
〓 11 〓 LN : 御伽 桜街家のおふたりに質問です。悪戯する時に一番大事にしていることはなんでしょうか? | ![]() |
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敢えて言うなら……。 ……真心、ですかね? |
![]() | 第三者が喜ぶ顔を想像してます~。 |
〓 12 〓 LN : Akira Lv.2 異世界に転生したら、みなさんはどんな能力が欲しいかな? | ![]() |
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やっぱり「財力」ですね! お金で解決しないトラブルは無いとマリーさんに伺いました! |
![]() | そういうのじゃありません! もっとRPG的かつファンタジー的な世界観で異能力を手にした自分を想像してください! おおっと! 〝いまだって十分ファンタジーじゃん〟とかそういう意見は求めていませんので悪しからず、スイさん! |
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なにも言ってないじゃん。 言いたかったけど。 |
![]() | 私は「権力」が欲しいっ!! 愚民どもを蔑ろにするチカラがっ!! |
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財力と大差ないやつきた~。でも、考え方には賛成よ。 わたしは「洗脳」のチカラをもらうわね。 |
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ツァールにそんなもん持たせたらこの世の終わりよ。 私なら「予知能力」かしら。 魔導書ネクロノミコンが失われて以来、不自由なのよね。 |
![]() | スイさんはいかがですか? |
![]() | 私はいまのままで十分―― |
![]() | そういう回答は求めていません。 |
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……「瞬間移動」かな。 故郷が無いから、過去に訪れた土地全部が故郷みたいなもんなんだよ。 いつでもどこにでもすぐ戻れれば、便利かなって。 |
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そういう考え方もあるんですね。 私はスイとゆっくり旅をする方が楽しいので「スイが帰れる場所」になりたいです。 |
![]() | ……! |
![]() | 能力じゃない。 |
![]() | またしても私としたことが! |
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……そうだね。 私たちはふたりでひとつ。 イースんと私は、魂で結ばれた―― |
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私は「死者蘇生」したいですぅ~。 失われた魂を取り戻したいと願うのは、間違いでしょうか~? |
![]() | …………。 |
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いいえ。 感情があるのですから。 当然の願望ですよ、紗那お嬢様。 |
〓 13 〓 LN : みすてぃー Lv.2 桜街家の一員になりたいです! 紗那お嬢様のためならなんでもします! あと一応車と運転免許持ってます! 面接会場はどこですか? P.S. こねくとイースん組呼んでくれてありがとうございます。アーカイブ無限回見ます。 | ![]() |
![]() | 歓迎します~。 |
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桜街家へようこそ! メイド隊アッシーみすてぃー! まずはこの書類にサインを! 合否はそれからです! |
![]() | サインしちゃダメなやつだよ絶対。 |

〓 p4 〓 LN : おにぐも Lv.3
〓 14 〓 LN : のら Lv.4 スカートからショートパンツまでも履きこなす桜街紗那さんに質問です。僕もデザインの好みから、レディースラインの服を着ることが多々ありますが、体型維持等気をつけることも多く苦心しております。なにか体型維持で意識されてることはありますか? | ![]() |
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おなかいっぱいまで食べないことでしょうか~。 姉がよく言ってたんですぅ~。 |
![]() | まともな返答! |
![]() | 紗那様はいつだってまともです。 |
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あとはよく歩きましょう~。 札束とか落ちてるかもしれませんよ~? |
![]() | ユティーカ姉さんも落ちてないかしら? |
〓 15 〓 LN : ポート Lv.3 どなたかシャナナさんをご存じの方はいらっしゃらないですか? 彼のことがとても気になっています! | ![]() |
![]() | (シャナナ)呼びました~? |
![]() | (ハマリエル)呼びました~? |
![]() | (ジャーガル)……なんの用だよ。 |
![]() | 呼んでない子まで来た! |
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わ~。 初めましてですぅ~! |
03自分らしく生きる
〓 16 〓 LN : 中ii(なかに) Lv.4 アスツァールさん、スイさん。おふたりはイースさんよりも前に憑依する・されるの関係だったと聞いていますが、お互いなにか思う所があったりするんでしょうか? | ![]() |
![]() | その節はお世話になりました。 |
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いいのよ。 大したことしてないわ。 |
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大したことしたわよね!? ツァールが散歩気分で神域を滅ぼしたトコから、星界の歪みが取り返しの付かないものになったって話じゃない。 |
![]() | それ以前に邪神竜が一周目を滅ぼしたのが発端なんですすみませんッ!! |
![]() | おかえり! |
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ほい。落ちてた司会のバトン。 桜街家の手垢がばっちり付いてるけど。 |
![]() | ばっちいですね!? |
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記憶保持うんぬん以前に大昔過ぎて、ほとんど覚えてないんだよね。 当時、イースんはアスツァール付きのメイドで、アスツァールが根源ク・リトの能力で暴れるための憑依先として、私をさらって来たんだっけ。 |
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はい。 未だに未熟なわたしですが、あの頃のわたしは世間知らずでした。 |
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まるで現在は立派になったって物言いね。 ウケるわ~。 |
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アスツァールさんが神域を壊滅させたのって、まだ人間が誕生してない時代じゃないですか。 スイさんって何者なんですか? |
![]() | スイはスイです。 |
![]() | イースん! |
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はいはい。 麗しい友情だこと。 |
![]() | 私も姉さんとそういうのしたい! |
![]() | トゥーラは甘えん坊でちゅね~? |
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いたたた痛い痛い! あんたじゃない方の姉! ユティーカ姉さんよ!! |
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私はアスツァールのせいで生死の境を彷徨ったし、当然、良く思ってる訳がない。 イースんが私に憑依して回復に専念してくれたから、現在の私がいる。 アスツァールが謝ってくれるなら、私個人は許してあげてもいいけど? |
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はあ? 誰に向かって物申してるつもり? 土下座して〝謝ってください!〟って懇願でもすれば? |
![]() | 斬新な土下座内容ですね……。 |
![]() | 申し訳ないけど、ツァールに期待しても無駄よ。 |
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……知ってる。 だからこの話はおしまい。 |
〓 17 〓 LN : Fタカマサ Lv.3 ぶっちゃけ皆様はソル様のことをどう思っていらっしゃいますか? | ![]() |
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ソル様はわたしの居場所でした。 武と智に長けた、聖人君主です。 |
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言い過ぎ。 世界を危機に晒したってのに。 |
![]() | わたしとスイを救ってくれて感謝しています。 |
![]() | それを言われると私も弱いんだけど……。 |
![]() | そういえば、こちらのソルさんには会ったんですか? |
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もちろんです。 こちらのソル様には新しい家庭があるようでしたので、社交辞令に留めましたが。 |
![]() | 離婚した旦那のような物言いになってるよ、イースん!? |
![]() | 良いですよね、結婚ッ!! |
![]() | あちらのソル様の代わりにお礼を伝えたら、微笑んでくれました。 |
![]() | こちらのソル様は大事な妹のルナさん、パピス・ラキさん、それから、リウェットさん、アニムスさん、レーベ・エンデさん、64人のNanaoクローンさんたち、あとついでに、パピス・メキさんに囲まれてとても幸せそうでした。 |
![]() | まだ会ってないけど、壮絶な光景ね? |
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私も〝先生〟 と結婚して子供をたくさんたくさんた~くさんつくるんです! 予定は未定ですがッ!! |
![]() | 先生ってナニ? |
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私の大事な人です。 私の魂にくっついて離れないまま、いまにも消滅しそうな状態だったんですけど、きさらちゃんとアニムスちゃんが分離してくれました。 |
![]() | わたしやスイと同じ……! |
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はい。 参考にさせていただきました。 あとはソルさんが準備中の〝先生〟用クローンボディにアニムスさんが降臨させるだけ! |
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な~んだ。 つまんない。 |
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ここまで来るのにどれだけ苦労があったと思ってるんですか!? つまんないとか言わないでください! |
![]() | その日が来たら盛大にお祝いしましょう。 |
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そうだね! 私たちも生徒にしてくれるかな? なんてね! |
〓 18 〓 LN : あぐなず いつも応援しているイースんとスイちゃんに質問です! ゼクス使いになってまだ日が浅いスイちゃんですが、ゼクス使いとして現状どのくらい上達しているのでしょうか? スイちゃん本人とパートナーであるイースんの目線から答えていただけると嬉しいです! | ![]() |
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うちのスイは成長目覚ましいです。 いまやいくらでも背中をあずけられます。 ふんすふんす。 |
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あんまり私を甘やかさないで……。 経験がまだまだ足りないから、精進しないとだよ。 安倍晴明やレヴィーと戦った時はサポートするのが精一杯だったしね。 |
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そう言えば、前回ゲストだったおふたりとも戦われてたんでしたね。 ゼクス使いパートナーの中では唯一でしょうか? |
![]() | 言われてみればそうだね。 |
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運命の悪戯かしら。 ココロ踊るわ。 |
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運命さんは悪戯が上手なんですね! 私も精進しなくてはなりません! |
![]() | 悪戯の腕を磨くのは、ほどほどにして? |


〓 p5 〓 LN : やまだいぬ Lv.6
〓 19 〓 LN : もみじテンペスト Lv.3 ゼクス警察です! イースさん、無免許運転で白髪の女性を轢いたそうですね。この場で謝罪をお願いします! | ![]() |
![]() | こちらが罪状です。 |



![]() | すみませんでした。 |
![]() | いいってことよ! |
〓 20 〓 LN : ジャン・ジェラール Lv.2 うららさんはゆたかさんに会えたら、なにしたいですか? | ![]() |
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してもらいたい、というより……。 ……なでなでしてもらいたいわ。 |
![]() | トゥーラは甘えん坊でちゅね~? |
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いたたた痛い痛い! あんたには言ってない!! |
〓 21 〓 LN : シュン イースの形態である召誓者(オーバードレス)及び想いを束ねた姿の由来が気になります。第5星界にも同音の舞装(オーバードレス)やゴッドフォームとやらがありますが関係があるのでしょうか? | ![]() |
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皆さんがうらやましかったので真似てるだけです! 第5星界は知りませんが! |
![]() | イースんは暗器や早着替えが得意だからね。 |
〓 22 〓 LN : 近江 Lv.4 誰が一番悪戯が上手なのでしょうか? | ![]() |
![]() | 紗那さんユーディさんがいらっしゃらないので、安心してこのおたよりを拾えます! |
![]() |
でもまあ、悪戯が上手いのは、やっぱり、あのふたりだろうね。 いつも予想だにしてないことをしでかしてくれるよ。 |
![]() | その、おふたりはどちらへ? |
![]() | しばらく見てないわ。 |
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シャナナさんたちが一瞬だけ現れて、一緒にどこかへ行きましたね。 進行の妨げになるので、敢えて放っておきました! |
![]() | 放っておいて良かったの? |
![]() | …………。 |
![]() | …………。 |
![]() | …………。 |
![]() | やばいです。 |
04急遽おわりのごあいさつ
〓 23 〓 LN : Tの男 Lv.2 ここ最近までうっかり忘れていた事や、急に思い出した事とかありますか? | ![]() |
![]() | 始末書警報ッ!!!! |
![]() | わたしも一緒に暴れてくるわね! |
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なに考えてるのツァール! ダメよ、そんなココロ踊ること! |
![]() | うららさんの本音がダダ漏れです! |

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あとハーフ・アニバーサリー記念衣装のお披露目忘れてました! ハッピー・クリスマスとハッピー・ニューイヤーとハッピー・バレンタインとハッピー・ハーフ・アニバーサリーを兼ねた我ながら素敵な衣装です! |
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忘れちゃいけないやつ! あとそれどころじゃなさそう! |
![]() | 皆さん、無事ですか!? |
![]() | 塔にひざかっくんしちゃいました~。 |
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ええええ!? なにしてくれてるんですか!? |
![]() | 危ない! |
![]() | あいたた……。 |
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お手柄です、スイ。 そして、離れてください、ふるり様。 あのふたりが纏う気配、大変危険なものです。 |
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あらら。 ク・リトに憑依されてるわね。 |
![]() | ……えぅ? |
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会いたかったわ、リルフィ。 楽しい依代を用意してくれて……。 祝福してあげる。 |
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ワタシたちを捕まえようとしたこと! 青の世界もオマエも、竜域のヤツラ全員! 許してあげない。 |
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アビィとベティの姉妹か……。 探す手間が省けたけど、面倒なことになりそうね。 |
![]() | トライバル・トランサー……ッ!! |
CREDIT
Guest | 桜街紗那,ユーディ,夜刀うらら,アスツァール,スイ,イース |
Icon Illust | 吟,近衛音嗣,七六,花咲ちゆ |
Comic | 斎創 |
Location | 青の世界:セントラルタワー(倒壊) |
EX時空跳躍パニッシャー
「リルフィ、意識ある?」
「あいたた……。私、気を失って……?」
火花を散らす機械類が入り交じる瓦礫の中心で身を起こした私を、幼い少女が振り返りました。
その表情がみるみるうちに曇り、傍らにクマのぬいぐるみが出現します。
「幼くないもん!」
「アニムスさんが可愛らしいのが悪いんです。そんなことより状況を教えてください」
「塔が揺れたからびっくりして、感情爆発しちゃった」
セントラルタワーが崩壊した直接的な原因は、紗那さんやトライバル・トランサーといった〝困ったさん〟ではなく、まさかのアニムスさん。負の感情を暴発させてしまったようです。
現実逃避してる場合じゃないかもしれません。
「皆さんは……? トライバル・トランサーは!?」
「あっちで戦ってるよ」
指差された方角に視線を移すと同時に、爆音が轟きました。
宙に浮きながら火球を連投する紗那さんと、大地をえぐる衝撃波を放つユーディさん。それぞれ、ベティさんとアビィさんの支配下にあるようです。
苛烈な攻撃をことごとくいなすイースさんと背中合わせになり、天高く細剣を突き上げるスイさんは、いったいなにを……? 少なくとも防御行動には見えませんが。
「イースが受け止めた攻撃のパワーを、リソースに変換してるのかも」
「器用ですね!? ……あっ。でも、〝先生〟も似たようなことしてた気が!」
「うらやましいな。私もゼクス使いのパートナーが欲しいなあ……」
揺れ動く感情に呼応し、アニムスさんの家族がまた増えました。気付かなかったことにします。
「チェストーーーーっ!!」
「んぎゃ!?」
螺旋を帯びたリソースの振動波が空気を切り裂き、遠く離れたアスツァールさんへ命中。間髪入れずにうららさんの拳が叩き込まれ、ク・リト王家三姉妹の長女は瓦礫の山に埋もれました。
スイさん、ほんとに器用ですね。
「ナイスアシスト。ココロ震えたわ!」
「紗那とユーディはイースんが抑え込むから、裏切者を片付けて!」
「了解よ。フフ……。日頃の恨み、晴らさせてもらうわ!」
「……よくもやったわね。泣きべそばかりの妹が調子乗んな。イィスもあとで泣かす!」
「ヒェッ」
説明を省きますが、〝イィス〟はスイさんの本名らしいです。
うららさんの賛辞とアスツァールさんの文句を受けたスイさんが、私に気付きました。イースさんたちが戦場を空中に移してしまったため、こちらへ駆け寄って来ます。
「無事だったんだね。良かった!」
「お陰様で! ところで、何故うららさんとアスツァールさんが戦ってるんですか!?」
「〝3対3の方が盛り上がりそう〟とか言い出した」
「……アスツァールさんなら言いそうです」
「うららもココロ踊ってたよ?」
「血は争えませんね……。では、私も加勢しますか。自慢のどっかん粉砕ハンマーで!」
杖を変形させ、駆け出すと――
「ストップ!」
スイさんが慌てて私を引き止めました。
振り返ると、アニムスさんも神妙な面持ち。なにやら不吉な予感です。
「……なにかあったんですか? その様子だと、私に関係のある事柄ですよね」
「……うん。ソルの機械が壊れたんだよ。【魂の揺りかご】が……。リルフィからひっぺがした魂を保管してた装置……」
「……!!」
「こんな時に限って、怜亜たちと連絡が繋がらないんだよね」
アニムスさんが可愛らしく肩をすくめた。
治安維持部隊フォルセティは枢要大罪“憂鬱”アスタロト、つまり、模造されし神祖の仮面を被ったソリトゥスさんの討伐任務に当たってるはず。
「えっと……。揺りかごが壊れるとどうなるんです……?」
「魂が衰弱して消えるだろうね。私やイースんがそうなり掛けたように」
「先生がいなくなっちゃうってことですか!? そんなの嫌ですッ!!」
「じゃあ、降霊術を強行するよ。きさらの帰りも、正規の器が完成するのも、待ってられない。だから、リルフィの許可が欲しかったんだよ。……いいよね?」
もちろん、異存はありません。でも、ひとつだけ気になります。
早口でまくしたてるアニムスさんは、ずっとそっぽを向いています。後ろめたいことでもあるんでしょうか。
「うう。バレてる……。ごめんなさい。揺りかごが壊れたのは私が爆発したせいだから……」
「気にしないでください。それくらいのトラブルは織り込み済みです!」
「破壊系のトラブルが織り込み済みってのもどうかと思うよ、リルフィちゃん」
「確率がゼロじゃなければ勝ち目はあります。フォルセティの皆さんは心配ですが、儀式を始めてくれますか?」
「……うん。先生の魂を降ろそう!」
「おーい。うららさーん、聞こえる? そっちはそっちでなんとかして!」
アスツァールさんの魔力球を両手で受け止めたうららさんは、振り向かずにウインクで応えました。あれはバトルが楽しくて仕方ないって顔ですね。
続けて、上空のイースさんが反応しました。
「話は伺いました! トライバル・トランサーはわたしにお任せください。儀式の邪魔はさせません!」
「ク・リトの恥さらしのクセにムカつくのよ。絶対に許してあげない!」
「ク・リトの恥さらしは、おふたりではありませんか?」
「生意気な子には、偉大な先輩が許しの請い方を教えてあげる」
「では、私も加勢してきますね。自慢のざっくり両断ブレードで!」
紗那さん顔のベティさんはともかく、ユーディさん顔のアビィさんはなかなか違和感……。
……いえ。違和感仕事しろって感じでした。
杖を変形させ、駆け出すと――
「ストップ!」
スイさんが慌てて私を引き止めました。さっきもこの流れあったような。
「いやいや。行っちゃだめだよ!」
「近しい人の願いは成功率に大きく影響するよ。儀式の間、先生に呼び掛け続けて」
「どの程度変わるんです、成功率?」
「ざっくり、1%が5%になるね」
奇しくも〝5%〟は邪神竜が浄化された時の成功率と同じでした。
「ちなみに、失敗するとどうなんの?」
「木っ端微塵」
「怖っ!! ……だってさ。なおさらギャンブルする必要はないよね」
「そういうことでしたら――」
ブレードを握る手に汗が滲みます。
努めて笑顔で声を絞り出しました。
「アニムスさんにお任せします!」
「なんで!?」
「1%もあれば十分です。先生は逆境に強いんですッ!!」
「ギャンブル依存者の発言みたいになってるけど!?」
「すみません。わざわざ成功率を下げるなんて、自分でも馬鹿な真似かと思いますが」
復活を願う弱々しい姿を心配してもらうより。
立派に戦う強々しい姿で安心してもらいたい。
ここにいるのは先生の魂。
ここにいるはずもない〝先生〟の魂に届くはずもありません。
なのに――
いまのリルフィを〝先生〟に知ってもらうなら、いまこの瞬間しかない。
何故だか、強くそう思ってしまったんです。
先生と〝先生〟を天秤に掛け、先生を危険に晒そうとしています。
あまりにも愚かな私の考えは、アニムスさんに読まれてしまいました。
「……わがままを聞いてもらえませんか」
「ほんと馬鹿みたいなこだわりだね。失敗を私のせいにしないなら、好きにすればいいよ」
「いいの!? 認めちゃうの!? 私には成功率を下げるメリットがまったく見えないけど!!」
「パートナーがいるスイに分かんないなら、なおさら私に分かるわけないじゃん。やんなっちゃうなあ」
うろたえ顔のスイさんとうんざり顔のアニムスさんに儀式を託し、今度こそ私は駆け出しました。これっぽっちも心配はありません。何故なら、リルフィと先生の絆もまた、つよつよだからです。
「行って来ます! スイさんは五色のリソースを束ねといてください!」
「えっ!? わ、分かった! 私ひとりだと大した量にならないけど、それはいいよね!?」
「ダメです。大した量にしといてください」
「突然の無茶振り!?」
悪魔のような翼でひとっ飛び。私は空を舞うイースさんの隣へ並び立ちました。
「リルフィさん!? 憑依される危険が高いので、離れていてください。時間稼ぎは引き続きわたしが受け持ちますので!」
「いえ。やらせてください。私の手でトライバル・トランサーに引導を渡したいんです! ……とはいえ、リルフィひとりでなんとか出来るとも思ってませんので、力を貸してくれると嬉しいです……」
「強気か弱気かハッキリしろ定期。などと罵るのが通の会話と聞きました」
イースさんがどんどん良くない文化に侵されていきます。ネットイキリスキルを極めるまえに、誰かが止めた方がいいんじゃないでしょうか。
それはさておき、アビィさんとベティさんって、かなりのトラウマなんですよね……。勢い込んではみたものの、恐怖と不安に胸が張り裂けそうです。
「飛んで火にいる夏の虫だろうと慈悲は掛けてあげない」
「身の程を思い知らせてあげる」
先日――
忘れてた記憶が戻り、気付いたことがあります。
蘇った記憶を反芻しながら、リルフィは忌まわしきドラゴンの姿へ変身しました。
「トランス・邪神竜!」
「リルフィさん!? いくらなんでも、悪手です!」
「いいんです。この姿じゃないと、証明したことになりませんから」
「なんの話ですか……?」
大恩ある〝先生〟は一周目の彼方へ消えました。
二周目で出逢った先生は〝先生〟の前身であって〝先生〟じゃないんです。
私が一方的に好意を押し付けただけ。
「挑発のつもりかしら? 望み通り憑依してあげる!」
「ドラゴンの器、二度と返してあげない!」
もちろん先生と紡いだ絆だって立派なものです。誇れます。
なんたってイグニッション・オーバーブーストも成し遂げたんですから。
けれど、絆の形はどうだったでしょうか。そこに、愛は、あったでしょうか。
「うっ。ぐっ。や、やっぱり私に憑依しましたね……? イースさんは紗那さんとユーディさんを遠くへ。ふたりとも肉体を酷使されて体力を削られてます」
「なるほど。酷い状態です。わたしの観察不足でした。……ソル様に預けて来ますので、少し時間をください。トライバル・トランサーに抗えますか?」
頷きました。自信は、あります。
……自信が、ありません。
「落ち着いたかな?」
「……はい。最後の最後で取り乱してしまい、すみません」
破けてしまった衣服の代わりにと、先生が毛布を掛けてくれました。
「仕方ないさ。もともと君は希望を喰らうために創られた存在だ。繁栄を願う世界の意志ワールドアバターがその解釈を歪曲させられ、五つの世界を滅亡へ誘う邪悪な意志となった。その融合体なんだから。どちらかと言えば、いまの状態の方が不安定なんだよ」
「いいえ。もう二度とドラゴン形態にはなりません!」
「無理はしないようにね。どだい、邪心だけを綺麗に取り除くなんて不可能な話だよ。かくいう僕にだって邪な気持ちくらいある」
「さてはリルフィの裸で良からぬ想像をしましたね!?」
「ははは。そうかもね」
先生の声を聞いていると落ち着きます。しばし、パチパチと爆ぜる焚き火の音だけに支配された時間が流れました。
「すべてを憎んだ神々も、ゼロに呑まれた。皮肉なものだよ」
「私が生に執着しなければ、あんな悪夢は生まれなかったんですよね……」
「まだそんなことを言ってるのか」
「だってあれは私から取り除かれたモノなんですよ!?」
「君の生死に関係なくゼロは残滓として残っただろう。であれば、君が僕たちの仲間になってくれた分、儲けものじゃないか」
そして先生は私を殺す文句を付け加えるのでした。
「なにより、僕の大切な人になった」
「……えと、その、あうう……」
みるみる赤面していくのが自分でも分かります。
「約束は果たせそうにないけれど」
「お気持ちだけで十分です。私なんかを選んでくれた、それだけで私は……」
言っているそばから、涙がこぼれ落ちました。心にもないことを言ったから。
「……ごめんなさい。嘘です。なんとかしてイマジナリィ・ゼロを倒して、平和を取り戻して、先生と幸せな家庭を築く。そんな未来を思い描いていました」
「僕もだよ。可能性をずっと夢見ていた」
空には星ひとつありません。大地も海もありません。直径わずか10メートルほどの足場に置かれた装置と焚き火と私たちを残し、すべて消え失せました。
「もうすぐこの時空は〝最初から無かった〟ことになる。過去へ向けて虚無が塗り潰していくからだ」
先生は自身に残された最後のリソースを、装置へ注ぎ込みながら言いました。
不完全であるため、想定された時間跳躍機能を果たすかは定かじゃないそうです。例えば記憶を失うかもしれません。先生との大切な記憶を。それだけが怖いです。
「僕が君を導くよ。希望を過去へ繋ぐため」
「……先生!」
「なんだい、リルフィ」
私は想いの丈をすべて先生へぶつけました。
「人の姿を与えてくれてありがとうございました! 素敵な名前を考えてくれてありがとうございました! 風邪をひいた時に看病してくれてありがとうございました! 先生は私の誇りで、自慢で、ぎゅんぎゅんで……」
「僕も君みたいな優秀な教え子を持てて誇らしいよ。……なんてね。本当は先生でもなんでもないのに、君が僕を〝先生〟なんて呼ぶから、周りもそう呼び始めたんだ。……ああ。懐かしい。いろんな顔が思い浮かぶよ。ガルマータとケィツゥーがミサキを送り出したように、サタンがクレプスを送り出したように、蝶ヶ崎博士が迦陵頻伽を送り出したように、みんなが僕らへ希望を託したように……。彼らもこんな気持ちだったのかな」
「……先生!」
「なんだい、リルフィ」
「人の心を教えてくれてありがとうございました!」
「うん。いつでも僕は隣にいるよ」
「大好きですッ!!」

だから、私はひとりじゃありません。
(一周目は私が壊しました。課せられた宿命を嘆きました)
(どうしたの、リルフィちゃん? お腹でも壊しちゃった?)
(二周目は時間遡行の目的を忘れていました。どこかで犯した選択ミスを後悔しました)
(生まれて来たのもワタシに知られたのも痛恨のミス!)
(三周目は傍観に徹しました。皆さんの背中を追い掛け、サポートするのが、最良の選択だと信じたから。間違いだったとは思いませんが、囚われ過ぎてたかもしれません)
いまだけは、やりたいようにやります。
あなたに、成長したリルフィを見て欲しいから。
孤独を埋めて欲しいから。
どうして、リルフィを置いて逝ってしまったんですか?
時空の果てまでリルフィを導いてくれて、ありがとうございました。
私は二度と運命に屈しません。淋しいんです……。もう教えは必要ないって、大丈夫って、証明してみせます。どうか……。見ててください。リルフィを助けて――
「リルフィ!!!!」
「……!!」
大きな声が耳の奥で反響してます。
私に憑依するアビィさんとベティさんの精神干渉から解き放ってくれたみたいです。ふるりちゃんねるでイースさんが言ってた通り。スイさんは頼りになりますね。
「無事に終わったよ」
「ほんとですか!?」
起こされたのは、意識だけではありませんでした。
アニムスさんが疲れ切った笑みを浮かべながら、両手でピースサインを突き出してます。なんとなんと、私が迷睡してるうちに【1%の奇跡】を成し遂げてくれたようです。
邪教の祭壇めいた装飾が施されたテーブルに、形容し難い造形のぬいぐるみが横たわってます。
「ああっ。おふたりにはなんとお礼を言えば良いのかっ。……くっ。ふう」
「大丈夫!? 顔色が悪いよ……!」
「いえ。問題ありません。あとは厄介な邪魔者をなんとかするだけ。次はリルフィが根性を見せる番ですッ!!」
「リルフィさん、お待たせしました!」
「ちょうど良かった。イースさんにお願いがあります」
崩れたセントラルタワーの上層方面から戻って来たイースさんが、ドラゴン形態となってる私の首元に着地しました。
乗っ取りを目論む賞金首への警告も兼ねて、作戦の実行を宣言しましょう。
「トライバル・トランサーを撃ち抜く準備をしてください! リルフィごとで構いません!」
「えっ!? で、ですがっ!」
「時間がありません。リソースならスイさんが準備してくれてます!」
「私、そんな無茶な作戦のために準備してたの!?」
「大丈夫です。大丈夫だと示す必要があるんです。そのためにも……。いつまで寝てるんですか、寝坊助さん! 朝ですよ!? 先生、先生~~~~ッ!!」
私の呼び掛けに応えるように、形容し難い造形のぬいぐるみが、意思を持って起き上がりました。
「気分はどうですか?」
「……気持ち、悪い。最悪だよ……。な、なんなの、この身体。また僕は、新しいトラブルに……?」
「はい! リルフィが巻き込みました! かくいう私も結構なピンチでして! トライバル・トランサーって凶悪犯とイマナウでせめぎあってます!」
首をかしげようとした先生がバランスを崩して転がりました。
「なにがなにやら、ちんぷんかんぷんなんだけど……。やばい系?」
「ピンチって言ったじゃないですか! やばいんですよ! いまから数々のボスを屠ってきたイースさんの一撃を受けて、なおかつ、耐えなくちゃなりません! 私の内側にいるトライバル・トランサーを仕留めつつです! 極限まで魂が摩耗してぐったりしてるところすみませんが、リルフィの意識が―― 奪ってあげる! ……ぐぐぐ。思い通りには―― させてあげない!」
「いまのなに!?」
「宿敵に憑依されてるんですってば! 先生の活躍に期待して無茶してるんですから、なんとかしてくれないとプンプンですよッ!!」
大きな口でくわえ上げたぬいぐるみを、前後左右に揺らします。容赦なくシェイクします。
「頭振り過ぎて、気持ち悪くなってきました……」
「僕のセリフなんだけど!?」
「……勝手にいなくならないでください」
「ごめん」
ぬいぐるみを頭の上に放り投げ、大事な言葉を伝えました。
「リルフィをサポートしてくれますか?」
「もちろん」
「リルフィもサポートします」
「助かるよ」

一瞬、ビジョンが重なりました。
約束を交わした、あの日の景色と、あの人の姿が。
消えてしまったはずなんです。
お別れしたはずなんです。
だから、都合の良い解釈をしても良いでしょうか。
奇跡を遥かに超えて、刹那、神風が吹き込んだのだと。
「さよなら、〝先生〟。……おかえりなさい、先生」
「お疲れ様です、〝先生〟。……ただいま、リルフィ」
新しい未来を見届ける。
……それが、交わした約束。
果たしてみせます。ぎゅんぎゅんに。ようやく先生と一緒に目的へ向かって進めるから。
「お願いします! スイさん、イースさん!」
「かしこまりました!」
「無理くり造り出したリソースだから、威力に期待しないでね!」
「期待してます!」
「期待が重い……!」
スイさんが掲げた両手からイースさんへ。
赤、青、白、黒、緑、流れ込んだ五色の光が輝く矢を形成してゆきます。
「私たちも備えますか。……久しぶりで出来ないなんて、言わせませんよ?」
「体調は最悪。記憶はおぼろげ。ぬいぐるみの身体。作戦のすり合わせもそこそこにぶっつけ本番か。やれやれ……。いつも通りだね!」
「はいっ! いつも九頭竜学園でそうしてたように、いきあたりばったりでいきましょう!」
イースさん渾身の必殺技を、リルフィと先生は正面から受け止めました。
「シンフォニック・アロー!!」
「「イグニッション・オーバーブースト!!」」
「納得いかない」
「信じらんない」
治安維持部隊カーバンクルのマナ・マナクルで拘束された、アビィさんとベティさんが毒づきました。
シンフォニック・アローは破邪の矢。
邪な心を持つ者にこそよく効きます。リルフィも邪神竜としてちょこっと心配でしたが、こうしてピンピンしてるのは日頃の行いのたまものですね!
とはいえ、必殺技が直撃したのは事実。かなりのダメージを被りました。……おもに先生が。
「災難でしたね」
「だいたいリルフィのせいなんだけど?」
「がっかりです。誰彼構わず助け舟を出すような心清らかな先生なら、ノーダメージかと思ったのに……」
「僕は聖人君子じゃない。そりゃ、全部を救う努力はするけど、確率がゼロじゃない時だけだよ」
「不可能を可能にする勇気も知恵も無い。どうせ全部を救えないなら、確実なひとつを選ぶ」
「発言を訂正してください! いまの発言はリルフィの理想に反します!」
「知らないよ!」
「……あれ? さっきのはつまり、大勢よりもリルフィを選ぶってことですか? さては先生と生徒の関係を超越した禁断の告白だったりしましたか!?」
「はあ!? 話を飛躍させ過ぎ!」
「なーんて。とっとと体調を戻してください。先生不在の間に蓄えた知識を披露したいので」
「……そうだね。こっちのこと、いろいろ教えてもらわなきゃ。頼めるかな?」
「はいっ。もちろんです。リルフィは先生のナビゲーターですから!」
またふたりで、歩き始めましょう。
イメージと異なるかもしれない。しばらくは戸惑うかもしれない。それでも、私の〝先生〟像を精一杯、押し付けてみようと思います。
いつの日か、果たせなかったもうひとつの約束を叶えてくれるかもしれない、〝生徒〟へ――
Illust. ときのん