黒崎神門の軌跡

神門

Illust. 小林智美

[ 2015.04.03 掲載 / 2017.03.13 更新 ]

プロフィール

Name 黒崎 神門 Mikado Kurosaki
Age 18
Birth 4.1
Zodiac 牡羊座
Size 177cm
Job 大学院生 / 軍師
Family
World 赤の世界
Arrival 01, 03, 05, 08, ST, 09, 12, 16, 19
Partner 九大英雄アレキサンダー
Memo ・ひとりで何でもこなす。
・自衛隊北九州方面隊最高責任者。
・マイスター科学技術班にコネを持つ。
・赤の世界において三博士のひとりとなる。

略歴

00 東京生まれ。
01 両親が離婚し、神門は母親とともに母方の実家がある福岡へ。妹の春日と父親は東京に残った。
ブラックポイント発生。
02 ブラックポイントに飲み込まれた東京は壊滅。妹の生存は絶望的。神門はどんな手段を使ってでも妹を蘇らせることを誓う。
03 15歳で先端科学技術分野の研究に特化した九頭竜学院大学への入学を果たし、飛び級で大学院に進学。人間のクローンを生み出す研究を行う。
04 2年足らずで最先端のクローン技術のすべてを理解したが、今の技術ではDNAから妹の身体を蘇らせたとしても、記憶までは取り戻せないという壁にぶつかってしまう。
神門18歳。ブラックポイント発生から3年経過(ブースターパック第1弾「異世界との邂逅」前後)。
05 九大英雄アレキサンダーが歴史上の人物と同一人物(身体はクローンだが魂は本物)であることを知り、赤の世界の技術を利用して妹を蘇らせようと考える。アレキサンダーに課された試練を乗り越え、その軍師となる。
06 アレキサンダーとともにゼクスの一群を率いて九州を北上。南九州に発生したブラックポイントを避け、北九州に避難していた自衛隊西部方面隊の実権を握る。西部方面隊は後に北九州方面隊へと改称。都城出雲と出会う。
07 白の世界方面への侵攻を目的とする《別府湾攻防戦》の陣頭指揮を取る。作戦名《サンセットインターセプト》。
H.S.1-1:敗北
08 作戦名《クリムゾンインベイジョン》を発動し、赤の世界の軍勢を佐渡へ侵攻させる。自身は北九州に滞留。
H.S.1-2:敗北
09 妹の春日に瓜ふたつの世羅と出会い、カードデバイスを手渡す。
10 度重なる敗北により、神門の軍師としての才を疑ったブレイバーたちが赤の世界各地で反乱を起こす。神門は福岡でハンニバル・バルカを、アレキサンダーは広島で呂布奉先を迎え撃った。当初は劣勢だったものの何らかの力により援軍が駆けつけ、形勢逆転に成功。反乱を鎮圧。
H.S.2-5:勝利
11 赤の世界の軍勢を率いて東征を開始。東京の奪還が名目だが、真の目的はブラックポイントの中にある春日の魂を回収すること。
12 飛鳥と共闘して広島でカーディナルブレードと戦闘。アレキサンダーの一撃が決定打となり、撤退させる。
H.S.3-3:勝利
13 白の世界、青の世界それぞれとの小規模な戦闘から得られた情報の分析が完了。白の世界と同盟を組み、青の世界攻略へ赤の世界が助力することを決定する。
14 青の世界に追われている世羅から相談を受け、緑の世界へ逃げるよう指示する。
15 ハンニバルと呂布の反乱は鎮圧したものの、神門に従わないブレイバーは後を絶たない。織田信長が生前に果たせなかった全国統一の野望を実現させるべく、武将たちを率いて北海道を急襲する。北海道が赤の世界支配圏となる。
H.S.4-2 / H.S.5-5
16 赤と白の世界の同盟締結パーティーの会場で、天王寺大和とそのパートナー…クレプスによる暗殺未遂に遭う。
17 同盟先の白の世界に手を貸す形で、青の世界のメタルフォートレス軍団と交戦。
H.S.5-3:敗北
18 緑の世界の八大龍王 難陀と水面下で協定を締結。高千穂の譲渡を交換条件に、黒の世界攻略への助力を仰ぐ。
19 《モウギ》を目指す各務原あづみと青葉千歳の動きを察知。北九州で神門の留守を任せられていた出雲を通じ、高千穂の奪還を目指す緑の世界の邪魔をしないよう、ジャンヌダルクたちを差し向ける。
H.S.6-5
徳叉迦の秘術により赤と緑の世界のブラックポイントが転換(ブースターパック第13弾「変革の疾風」前後)。
20 難陀は協定を反故にし、黒の世界攻略へ手を貸さなかった。体良く利用されたことを悟るが、神門は意に介せず関東突入の機会を伺う。
21 太平洋側から関東へ侵入。神門が黒の世界のブラックポイントの調査を行っている間、暇を持て余していたアレキサンダーが、偵察に訪れた上柚木八千代を発見する。
H.S.8-1
22 神門は東征の道すがら、人外の力を得られるという《神祖の強欲の仮面》が関東近辺に存在するという情報を耳にしていた。しかし、詳細は得られていない。
23 アレキサンダーが単騎で行動。周辺を嗅ぎまわっていた八千代とアルモタヘルを撃退する。しかし、綾瀬とズィーガーが彼女らの救援に現れたことで旗色が悪くなり、ついに膝をついた。直後、神を名乗るギルガメシュなる者が現れ、人類への宣戦布告を行った。
H.S.9-1:敗北
神降臨(ブースターパック真神降臨編「神域との邂逅」前後)。
24 アレキサンダーから黒の世界のゼクス使いが神祖の仮面を捜索していたと報告を受ける。仮面の捜索についてはその人物を泳がせることとし、自身は妹復活の準備を整えるため “魂と対話できる” という、東北の百目鬼一族を訪ねる方針を定めた。神出現の報告については一切興味を示さず、アレキサンダー憤慨。
25 関東を離れようとしたところで、とても聞き覚えのある声に呼び止められる。しかし、アレキサンダーがその声を聞きつけた様子はなく、声の主も見つからなかった。
26 出雲と遭遇。妹復活のために赤の世界を利用した事実を不徳と責められ、臨戦態勢に入る。
27 神祖の強欲の仮面に蝕まれた春日が出現。神門を殺害しての魔人化を目論むが、異変を察知した出雲が神門をかばい絶命。逆上した春日の姿に衝撃を受けた神門は慟哭し、心を閉ざした。
28 ガーンデーヴァが絶命した出雲を背負って立ち去る。出雲の死と血をきっかけに神祖の強欲の魔人マンモンと化した春日だったが、アレキサンダーの牽制により無防備な神門へ手を出せずにいる。
29 意識の深淵にて、神門は神と邂逅を果たす(神の正体は不明)。自身が未来の可能性をことごとく潰す《特異点》であると知らされ、神の眷属となるよう促された。神門はこれを拒否。
30 我に返った神門はアレキサンダーと春日が見守る中、ただの一度もまみえたことのない竜の巫女へ呼びかけ、神を超えるための力を要求。見返りに覇神ギルガメシュの討伐に応じる。
31 竜の巫女に導かれ邂逅した、あづみ、飛鳥、綾瀬、八千代、相馬、ポラリスらと協力して覇神ギルガメシュを討伐。歓談する者らに背を向け、新たな目標 “春日を人間へ戻す” 遂行のため立ち去る。
H.S.10-8:勝利

旅立ちの物語

覇道の哀歌

「えぐぅ……ぐすっ……」
「参ったなあ。いい加減泣き止んでくれよ」
「だって、だって、みかにーちゃんいなくなっちゃうんだもん……」
「あのなあ。かくれんぼなんだから、いなくなって当たり前だろ」
「でも、どこにもいなかったんだもん……」
「ここにいるじゃないか。お前の前にいるのは誰だ?」
「みかにーちゃん」
「だろう? 僕はどこにも行かないよ」
「もう、いなくならない?」
「いなくならない」
「……えへへ! あ! みて! ほしがすごくきれいだよ!」
「すっかり夜になっちゃったな。おうちに帰ろう」
「うん!」

◆ ◆ ◆ ◆

 黒崎神門は、まどろみの中から目を覚ました。
 夢を見ていたような気もするが、覚えていない。
 いずれにしても、どうでもいいこと。
 手にすべきは、未来なのだから。

「すまない、寝ていたようだ」

 野営の天幕の下。
 神門はそこにいるだろうアレキサンダーに、振り向きもせず話しかけた。

「敵陣営を眼前に熟睡とは、貴様の大胆さには呆れ果てる」
「背中を預けられる相手がいるからな」
「ほざけ」

 死んでしまったかけがえのない妹、春日を復活させる。
 ただそれだけのために、神門は大学でクローン技術を学んだ。
 しかし、その成果として分かったことは、
 “ 春日のようなもの ” の創造なら可能だが、復活は不可能だということ。
 いずれにしても莫大な金が必要となる。

 だが、この男はどうだ。
 紀元前の世界を征し、歴史の教科書にも載っている、
 英雄王アレキサンダーの記憶を有したクローンだというではないか。
 赤の世界の技術ならば、故人の完璧な復活が可能なのだ。

 しかし、記憶を伴う復活には当人の魂が不可欠だという。
 春日の魂は東京。
 かつて、活気に満ち溢れていた彼の地は、
 巨大なブラックポイントと無数のゼクスに制圧されていた。
 神門は両親の離婚を止められなかった数年前の自分を、殴りつけたかった。

「我には、貴様の意図が分からぬ」

 アレキサンダーが不機嫌そうに顔を曇らせ、問うた。
 神門は眼鏡を外し、首を巡らせながら面倒くさそうに返す。

「この前の撤退が不満なのか?」
「当然だろう! 明らかに勝ち戦だったものを、むざむざ……!」

 神門にとっては黒の世界を破り、東京のブラックポイントを消滅させることが本懐。
 白の世界や青の世界の拠点叩きなど、眼中になかった。
 まずは黒の世界へたどり着けさえすれば、それでいい。

「世界制覇を目指すなら、黒の打倒は必然。
 だが、ディアボロスの狂気、ノスフェラトゥの物量、プレデターのパワー。
 黒の戦闘力は脅威だ。俺たち赤の軍勢をいたずらに消耗させるのは得策ではない。
 ならば、白や青、緑の奴らを思い上がらせ、けしかければいい」

 胸ポケットからハンカチを取り出した神門は、眼鏡のレンズを拭きながら答えた。
 歴史上の英雄を前にしても、まったく動じる気配がない。

「う、うむ……?
 確かに現状、最小限の被害に抑えられているのも事実……。
 いや、だが、ほどほどにせよ! 負け戦ばかりでは我が軍の士気に関わる!」
「信頼に足らないなら、いつ軍師の座から降ろしてもらっても構わない」
「貴様が軍師でなくなるのは、どちらかが死んだ時のみ。勝手な脱落は許さぬ!
 混乱に落ちた世界を救うのは、我にほかならぬのだからな!
 裏切ろうものなら、即刻その首、はねてくれる!」

 アレキサンダーの声色が低くくぐもったものに変化し、
 発せられた気迫により天幕がびりびりと震える。
 鬼気迫るアレキサンダーが腰の剣を地面に突き刺すと、大地が悲鳴を上げた。

「我が覇道、誰にも邪魔はさせん!」

 獣のように吠えるアレキサンダーは、人であって人に有らず。
 まごうことなきゼクスであった。
 明らかな異常事態だが、天下無双たるブレイバーの怒号に恐れをなしているのか、
 同じく野営中の同胞たちは誰ひとり様子を見に来ない。

 神門はあの剣が、何人、何匹ものゼクスの息の根を止めた場面を見てきた。
 単純な決闘ならば、放っておいても勝利をもぎ取ってくるアレキサンダーのこと。
 大願のために生命を摘み取ることに、一分のためらいもない。
 しかし、神門は大胆にも欠伸をかいて、態度を示したのだった。

「ふぁー……やめとけ」
「……張り合いのないやつめ!」

 アレキサンダーは剣を引き抜くと、その場へどっかり座り込む。
 共に世界制覇を目指すパートナーとなってから、幾度となく繰り返してきた問答だった。
 そりが合わないにも程があるふたりだが、沸点の違いから本気の争いにまでは発展しない。
 眼鏡をかけ直した神門は、正面からアレキサンダーを見据え、講釈を垂れる。

「いいか。士気なんてものは、ちょっとしたきっかけで、どうとでも動く。
 肝要なのはメリハリだ。苦労した後の勝利の美酒は格別なのだろ?
 下らない目先の勝利だけに囚われていては、すぐに足元をすくわれるぞ」
「なるほどわからん。
 まあいい。いつも以上に覇気がないように見えたが、無用な心配だったか。
 ……明日こそは頼むぞ。我も仮眠をとるとしよう」

 アレキサンダーは横になると、すぐにいびきをかき始めた。
 筋肉質の無頼漢で、怒って笑って叫んで寝て、忙しい男である。

「大胆なのはおまえだろ。足元をすくうのは俺かもしれないというのに……」

 神門はブレイバーのアレキサンダーに頭脳を認められ、赤の世界の軍師の座についた。
 野望を手助けするフリなどしてきたが、本心では異世界間のいさかいなど、
 まったく興味ないのである。

「アリストテレスやエウメネスではあるまいし」

 神門はアレキサンダーを助けたと言われている、過去の偉人の名を連ねた。
 このままいけば、彼の名前も同列に扱われる未来があるのかもしれない。
 世界制覇を目指すアレキサンダーの願いは本物だ。
 そして、野望へ向かって邁進する困難さを、神門は誰よりも知っているのである。

「俺には目的がある……。そのためなら、どんなことも厭わない」

 野営地の天幕から外へ出ると、広がる景色は満天の星空。
 4年前と変わらない荘厳さがそこにはあった。
 しかし、年月が経てば変わるものもある。

「でもな、春日。もうちょっとだけ待っててくれるか?
 おまえが生き返っても日本がこんなじゃ、意味ないもんな。
 だからにーちゃん、寄り道してくよ。あいつなら、きっと叶えてくれるから……」

ゼクス・ゼロ 覇道の哀歌 <はどうのエレジー> 了

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